
秋の鮮やかな色彩は、写真家が、アート性の高い作品に挑戦するのにも、向いた被写体です。ePHOTOzineは、通常の風景写真とは違う、抽象的な秋の写真を撮る3つの方法を、10月2日に紹介しました。
この記事では、カメラを動かして撮る方法、Photoshopで同じ効果を再現する方法、風の強い日の長時間露光を、設定の目安や失敗しやすい点とあわせて整理します。
この記事のポイント
- 露光中にカメラを一方向に動かすと、木々が力強い色の線になる
- すでに撮影した秋の写真も、Photoshopで抽象的な表現に変えられる
- 風の強い日は、長時間露光で葉の動きを、クリエイティブなブレとして捉えられる
1. 露光中にカメラを動かして、木々を色の線にする
この技法は、露光を始めてから、カメラを特定の方向に動かして(パンして)撮影します。木々が、力強い色の線になり、いつもの秋の風景に、ひねりを加えられます。元記事では、春に公開した過去記事で、手順を詳しく紹介したと説明しています。
葉に焦点を合わせ、動かす方向を変えて、画像に動きを出すこともできます。特に、明確な線や硬いエッジが少ない樹冠を撮るときは、円を描くようにカメラを動かすのが効果的です。描く円の大きさによって、画像内の形が変わるため、いろいろなサイズを試してみてください。
編集部補足:この技法は、ICM(Intentional Camera Movement、意図的なカメラブレ)とも呼ばれます。動かす方向によって、仕上がりが変わります。
- 縦に動かす:幹が、縦に伸びる色の線になる
- 横に動かす:森が、水平に流れる色の帯になる
- 円を描く:樹冠が、渦を巻くような柔らかい形になる
露光が始まる前から、カメラを動かし始め、終わった後まで、動かし続けると、線の始まりと終わりが不自然に切れにくくなります。手持ちで撮影できますが、動きが途中で止まったり、傾いたりしやすいため、多めに撮影して、うまくいったものを選ぶのが基本です。
2. Photoshopで同じ表現を再現する
パソコンに、秋の写真が保存されている場合は、Photoshopで、上の技法と同じような見た目を再現できます。元記事は、具体的な手順について、Abstract Autumn Shots In Photoshopというチュートリアルを案内しています。
Photoshopを開いたついでに、カメラを動かして撮った秋の写真を、トリプティク(3枚組)にまとめる方法も、提案されています。
編集部補足:元にする写真は、幹が縦に並ぶ森や、色のコントラストが強い紅葉のように、色と形がはっきりしたものが、向いています。一方向に流れるようなブレを、加えるやり方が、一般的な方法の一例です。3枚組にするときは、色味や縦横比、動かす方向をそろえると、まとまりのある作品になります。
3. 風の強い日に長時間露光で撮る
風で木々が揺れて、写真が台無しになることを心配するのではなく、天候を生かして、動きを強調する方法もあります。長時間露光を使うと、秋の葉は、クリエイティブなブレになります。
風景写真で、木々は入れつつも、シーンの他の部分は、あまりブレさせたくない場合は、多めに撮影してください。家に帰ってから、シャープな部分が、まったく写っていなかったということが、ないようにするためです。いらない写真は、あとで削除できます。葉には動きがあっても、画像の他の部分は止めるために、シャッタースピードを調整する必要もあります。多重露光でも、同じような結果が得られる場合があります。
編集部補足:この撮り方は、三脚が前提です。風の強さによって、葉のブレ方は変わるため、風が弱まったり強まったりするタイミングを見て、撮影するのが、コツです。シャープな写真と、ブレた写真を撮り分けて、あとから合成する方法もあります。
撮影設定の目安
以下は、編集部がまとめた、一般的な目安です。明るさや風の強さに合わせて、調整してください。
| 撮り方 | シャッタースピード | 絞り | ISO | 機材 |
|---|---|---|---|---|
| カメラを動かす(縦・横方向) | 1/4〜1秒程度 | f/11〜f/16 | 最低感度 | 手持ち、明るい場合はNDフィルター |
| カメラを動かす(円を描く動き) | 1/2〜2秒程度 | f/11〜f/16 | 最低感度 | 手持ち、明るい場合はNDフィルター |
| 風の日の長時間露光 | 1/2秒〜数秒 | f/11〜f/16 | 最低感度 | 三脚、NDまたはPLフィルター |
失敗しやすいポイントと対処
- 白飛びしてしまう:日中の明るい場所では、遅いシャッタースピードで、露出オーバーになりやすいため、絞る、ISOを最低にする、NDフィルターを使うなどで調整します。
- 線が途切れる、斜めになる:動かす速さと方向を、一定に保つ練習が必要です。最初は、シャッタースピードを、少し速めにして、動きに慣れてください。
- ブレ方が、不自然になる:手ブレ補正が、動きを打ち消すことがあります。仕上がりが不自然な場合は、手ブレ補正を切って試すのも、1つの方法です。
- 周囲への注意:遊歩道や林道で、カメラを振るときは、足元や他の人に、注意してください。
色づきの見ごろは、地域によって異なります。ほかの秋の撮影アイデアは、秋の写真撮影│すぐに試せる16のアイデアも、あわせてご覧ください。
編集部コメント
カメラを動かして撮る技法は、静止画のものですが、映像制作者にとっても、参考になる考え方です。動画では、シャッタースピードの設定によって、動きのブレの量が決まります。素早くカメラを振るウィップパンで、風景を一瞬だけ、色の帯にしてから、次のカットにつなぐような使い方が考えられます。動かす方向と速さによって、見た目がどう変わるかを、静止画で試しておくと、動画のカメラワークの設計にも、役立つはずです。
もう1つ注目したいのは、元記事が、多めに撮影して、うまくいったものを選ぶことを、強調している点です。抽象的な表現は、狙い通りに撮れる確率が、高くありません。何枚も撮って、その中から選ぶという前提で、現場に出ることが、成功率を上げる近道になります。映像でも、同じ場所で、動きの違う素材を、複数回撮っておくと、編集の選択肢が広がります。
本記事は海外メディアで公開された情報を参考に、日本向けに内容を整理・要約しています。
参考記事:3 Ways To Capture Autumn Photos With A Twist – Three Abstract Ideas
※掲載画像について
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