
SIGMA fp向けに、有志によって開発された非公式の改造ファームウェアが公開され、公式には提供されていない3:2アスペクト比での3K CinemaDNG記録が可能になったと報じられています。
開発者のVitaly Li氏が試作版を公開しており、fpの公式の記録モードが16:9のUHDやFHDであるのに対し、センサー全域を使った約3000×2000、24fps、12bitのCinemaDNGを外部SSDへ記録できるとされています。オープンソースの研究プロジェクト「fpSup」からも、同様のモードを備えたアルファ版が公開されています。
ただし、これらは非公式のもので、開発者自身が自己責任での使用を強調しています。本記事は導入を勧めるものではなく、報じられている内容と制約、リスクを整理します。
この記事のポイント
- SIGMA fp向けの非公式な改造ファームウェアで、センサー全域の3:2を使った3K(約3000×2000)・12bit・24fpsのCinemaDNG記録が可能になるとされている。
- 記録先は外部SSDで、SDカードへの直接記録はできない。
- fpSup側の資料によると、ローリングシャッターは約12.44ms(公式のUHD CinemaDNGモードは約21.1ms)。
- 動作確認は公式ファームウェアVer.5.02のみで、fp Lは対象外。開発者は自己責任での使用を強調している。
- 一部のユーザーからは、ピンク色のフレームやDNGの破損も報告されている。
有志が開発した非公式の改造ファームウェアが登場
今回の試作版は、開発者のVitaly Li氏がSIGMA fpのユーザーコミュニティで共有したものです。カメラのQuick Setメニューに「3K」のオプションを追加し、3000×2000のCinemaDNGを24fps・12bitで外部SSDへ記録します。通常の16:9の枠ではなく、センサーの3:2の全域を使う、いわゆるオープンゲート記録です。
fpSupは、SIGMA fpのファームウェアを研究するオープンソースのプロジェクトで、ドキュメントではLi氏が、fpからオープンゲートの映像を取り出した最初の人物として挙げられています。fpSupの説明によると、この種のコードはカメラ起動時にSDカードから読み込まれてメモリ上で動作し、カメラのフラッシュメモリには書き込まれません。ただし、開発者は故障のおそれがあることも警告しており、動作の保証はありません。
公式のCinemaDNG記録との違い
SIGMA fpのセンサーは有効約2,460万画素で、アスペクト比は3:2、静止画の最大解像度は6,000×4,000です。一方、公式サイトに掲載されている動画のCinemaDNG記録は、UHD(3,840×2,160)とFHD(1,920×1,080)で、いずれも16:9です。なお、SIGMA公式サイトではfpは生産完了と表示されています。
元記事によると、公式ファームウェアのVer.5.00では、ディレクターズビューファインダーにARRI ALEXA LFなどのオープンゲートのフレームガイドが追加されました。ただし、これはフレーミングを確認するための機能で、実際の記録はUHDとFHDのままです。最新の公式ファームウェアVer.5.02は2023年のもので、それ以降の更新はないとされています。
| 項目 | 公式(Ver.5.02) | 改造ファームウェア(3Kモード) |
|---|---|---|
| 記録解像度 | 3,840×2,160(UHD)/ 1,920×1,080(FHD) | 約3,000×2,000(fpSup版は3,024×2,010、DNGクロップ3,008×2,000) |
| アスペクト比 | 16:9 | 3:2(センサー全域) |
| 1フレームの画素数 | 約830万画素(UHD) | 約600万画素 |
| CinemaDNGのビット深度 | 8bit / 10bit / 12bit | 12bit(fpSup版は8bit / 10bit / 12bit) |
| 12bit記録のメディア | ポータブルSSD(UHDは29.97p以下)。SDカードはFHD(59.94p以下)まで | 外部SSDが必要(SDカードへの直接記録は不可) |
| フレームレート | UHD:23.98〜29.97p / FHD:最大119.88p | 24p(Li氏版)/ 23.976〜100fpsの8種類(fpSup版、アルファ版) |
| ローリングシャッター | 約21.1ms(UHD CinemaDNG、開発側の計測値) | 約12.44ms(fpSup版、開発側の計測値) |
fpSup版「OG3K」の内容
fpSupが公開しているオープンゲート版「OG3K」は、現在v0.2.3aで、アルファ版と表記されています。3,024×2,010の記録フレームを保存し、DNGのクロップは3,008×2,000です。8bit、10bit、12bitのCinemaDNGと、23.976〜100fpsの8種類のフレームレートに対応し、利用するにはカメラのSuper35クロップをオフにする必要があります。
開発側の説明によると、この3Kの映像はネイティブな2×2のビニング読み出しで、6Kを縮小したものではありません。副次的な効果として読み出し時間が短くなり、ローリングシャッターは公式のUHD CinemaDNGモードの約21.1msに対して約12.44msになるとされています。
外部SSDが必要な理由
非圧縮のCinemaDNGは、まず書き込み速度が制約になります。fpSupの資料では、3Kのオープンゲート24pは12bitで約220MB/s、10bitで約184MB/s、8bitで約148MB/sが必要です。開発側が測定したUHS-IIのSDカードは約94MB/sで、このモードでは数秒で記録が止まったとされています。一方、USB-C接続のSSDでは約390MB/sに達しました。
元記事は、12bit・約220MB/sで約18分記録すると、データ量は約240GBになる計算としています。同じ理屈で、6Kのオープンゲートは約735MB/sが必要になり、USB接続の速度では現実的でないとされています。SDカード専用の試験版としては、2,016×1,344の「OG2K」も公開されていますが、画角は同じで、解像度が下がります。
未検証の項目と注意点
- 動作確認は公式ファームウェアVer.5.02のみで、fp Lは対象外。
- Li氏版については、最初のフレームがピンク色になる場合があるとの報告がある。
- 一部のユーザーから、DNGのフレームが破損しているという報告がある。
- fpSup側は、25p・180°シャッターを除くフレームレートや、8bitと10bitの再生などを「未検証」と公表している。
- 非公式のため、使用した場合はメーカーの保証・サポート対象外となる可能性が高い。
3:2のRAW素材でできること
3:2の素材は縦方向に余裕があるため、1回の撮影から16:9の横位置と9:16の縦位置の両方を切り出しやすくなります。アナモルフィックレンズとの相性もよく、1.5倍のスクイーズなら、デスクイーズ後は2.25:1になり、左右を切らずに使えるとされています。一方で、1フレームの画素数はUHDの約830万画素から約600万画素に減るため、センサーの面積を使える代わりに解像度を手放す形になります。
編集部コメント
公式には提供されてこなかった3:2のオープンゲート記録を、有志の力で実現した点が今回の最大のポイントです。fpのセンサー自体は3:2ですが、公式のCinemaDNGは16:9のUHDやFHDが中心でした。3:2であれば、1回の撮影から横位置と縦位置の両方の素材を切り出したり、アナモルフィックレンズの画角を活かしたりと、選択肢が広がります。一方で、1フレームの画素数は約830万から約600万へ減るため、解像度と引き換えにセンサー面積を得る機能といえます。
もう一つ見ておきたいのは、開発側自身が未検証の項目を公開している点です。動作確認はVer.5.02のみで、一部の環境ではピンク色のフレームやDNGの破損も報告されており、業務の撮影にそのまま使うのは慎重に判断する必要があります。生産完了となったモデルに対して、ユーザーコミュニティが機能を広げようとしている動きとして、今後の進展を見守りたいところです。
本記事は海外メディアで公開された情報を参考に、日本向けに内容を整理・要約しています。
本記事で紹介する改造ファームウェアはSIGMA公式のものではなく、使用した場合はメーカーの保証・サポート対象外となる可能性があります。本記事は導入を推奨するものではありません。
参考記事:Hacked firmware adds 3:2 CinemaDNG RAW to the Sigma Fp
参考記事:SIGMA fp Open-Gate Hack – 3K 3:2 CinemaDNG, 12-Bit RAW, Full Sensor Readout
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